誘惑してみた☆(が)



  藤堂編

  「おおおお、おい、!?」
  「わ、私だって……誘惑くらいっ」
  「ちょ、おおお、落ち着け、落ち着けって!!」
  「なんで止めるのさ! 私じゃ、私じゃ役不足だって言うのか!?」
  「や、役不足じゃねえけど誘惑されてるっていうよりも殺されそうなんですけどっ!!」



  斎藤編

  「、い、一体何を!?」
  「静姫がしたこと、私もする」
  「!?」
  「一の事、誘惑する」
  「い、いやそれは……ちょ、ちょっと待て!」
  「なに? 静姫にはされても私にはされたくないっての?」
  「いや、そういうわけでは……た、ただ、彼者と同じ事をするのは、だな……その(男としての矜持が)」
  「いいから、同じ事をさせろ!!」
  「ま、待て! !! 同じ事は勘弁っ――」



  原田編

  「落ち着け。こんなの誰かと張り合う事はねえだろ」
  「張り合う事です!」
  「なんでだよ」
  「だって私、静姫と同じ顔をしてるのに……好きな人の一人も誘惑できないんですよ!?」
  「俺は、」
  「……なんですか」
  「俺は、惚れた女なら何でもしてやりてえさせてやりてえとは思うが……こういうのは、嫌だ。おまえの気持ちが、どこ
  にもねえ」
  「っ」
  「だけどおまえが俺の事を想って本当にしてえと思うんなら、迷わず誘いに乗ってやる。俺が心底惚れたおまえにだけだ」
  「さ、左之さぁあああん!!」



  沖田編

  「、そんなんじゃ全然その気になれないよ?」
  「わ、分かってる! こ、こうしたら……いいんだろ」
  「駄目駄目。てんで駄目」
  「っ」
  「それじゃあ全然駄目だよ。静姫の方がもっと――」
  「分かったよ!!」
  「――!?」
  「これで……どう、だよ」
  「(う、わ、あの鬼の名前を出すだけでってここまで出来ちゃうんだ?)」
  「……そう、じ、これでも、その気にならない?」
  「僕、最初っからにしかその気になってないんだけどね」



  土方編

  「おまえまで馬鹿な事しでかすんじゃねえよ!」
  「馬鹿って何ですか! 土方さんなんて静姫を前に鼻の下伸ばしてたくせに!」
  「誰が鼻の下を伸ばしたってんだよ。ってこら、、なにをっ」
  「誘惑するんです!」
  「てめえ、誘惑ってどういう事か分かってんのか? 力尽くで着物を脱がしたりする事じゃ、」
  「もう黙ってくださいよ!」
  「黙れるわけねえだろうが。ったく、馬鹿やってねえで落ち着けってんだよ!」
  「な、なにさぁ……」
  「っな、なんで泣くんだよ!?」
  「わ、私じゃだめなんですか!? 私だって同じ顔してるのにっ」
  「だ、駄目だなんて一言も、」
  「そりゃ私には色気なんてないですけどっ、そんな全力で拒まなくたって、」
  「いや、だから、拒んでねえって」
  「うぁあああん、土方さんの馬鹿ぁあああああ!!」
  「人の話を聞け!!」